-xs を用いずにデバッグシンボルを組み込むのを抑制する2013年08月04日 11時20分32秒

動作するプログラムを書くことを出来る人は大勢いるが、正しくコンパイルする事、効率的にコンパイル、リンクをする事が出来る人はほとんどいない。大部分の人達が、自分達が毎日、自分で何を行なっているかを把握していないのだ。知らず知らずのうちに、無駄を毎日の様に繰り返していることもしばしば。少しの変更で、大きな無駄を省けることも多々ある。一人で一割、二割の時間を有効に使えるようになるとしよう。それが、百人に及んだら事は重大だ。

Solaris には -xs というコンパイルオプションがある。これによりオブジェクトファイルなしに dbx でデバッグできるようになる。これを用いると、各々のオブジェクトファイルに入っているデバッグ情報が、実行ファイルへ全てコピーされるのだ。これが、リンクオプションで無いのは若干の不思議。

さて、このオプションを有効にするには -xs を指定する必要がある。これは、コードや中間生成物を共に移さない、本番系に有効なオプションだ。

つまり、このオプションを利用しないと、プログラムのサイズが大幅に小さくなる。元の一割やそれ以下の大きさにまでなってしまった等というのは日常茶飯事だ。

これを省くと、プログラムのリンクの時間が大幅に減る。デバッガの起動と再読み込みの時間も大きく減る。そして、ディスクの圧迫も回避となる。

もちろん、これを使わない不利益は、オブジェクトファイルが必要なこと。何かあった時に心配との事で、常に指定している組織も多い。

逆にいえば、一般的な開発環境では必要無い。そして、本番環境にオブジェクトファイルが無くても、core ファイルを持ってくれば、しっかりとデバッグが出来る。つまり、コードとオブジェクトファイルとしっかりと保持する運用体勢を確立していれば、用いなくても問題はない。または、本番用にのみ指定する運用でもいい。

成果物からは、弘法筆を選ばずの世界なのだが、その過程には、過ぎたるは猶及ばざるが如し、そして、労多くして功少なしの世界でもあるのだ。

なお、-xs は -xdebugformat=stabs を指定し、stabs 形式のデバッグ情報を用いる時に有効になる。-xdebugformat=dwarf で古い型の dwarf 形式を用いている場合には無意味だ。

AIX はある筋の情報によると stabs で、実行ファイル外にデバッグ情報を置くことは出来るが、dbx がオブジェクトファイルからその情報を読むことがまだ出来ない為、似たようなオプションは無いそうだ。