VOS 上の開発作業環境 と OpenVOS2006年07月18日 13時29分53秒

昔の VOS 上の開発の為の環境は惨状だった。あったのはコンパイラとリンカに加えて低レベルのスクリプト言語だけである。OpenVOS が登場するまでは、cvs 等のまともなリビジョン管理システムや、make 等のビルドシステムがなかったのである。

それでも、必要もないファイルをコンパイルしたり、コンパイルする人に依ってコンパイルオプションが代わったり、オプションをコンパイルの度にいちいち指定しなくてもいいように、Command Macro を使ってある程度はやっていた。しかし、makedepend の様な事が出来ないので、正しい手順でビルドをしないと、オブジェクト管で不整合を起こしたということは度々あったものだ。

ソースコードの管理も、ほぼ無きに等しい惨状ではあった。リビジョンの管理などは、まともに出来ていた所など無いと思われる。ソースコードの管理も陳腐な所が多い。

OpenVOS により POSIX 環境が手に入ったら逸早く、各種環境の整備を半ば強引に進めた。上や横からの反発も少なきにもあらずではあった。何度も言及してきたが、VOS は UNIX とは完全に異なる OS である。それ故、VOS 上の POSIX 環境、いわゆる bash 環境は UNIX 本来と比べても少々癖があったのである。それに加えて、VOS 開発者は大概にして VOS にはとても詳しいが、UNIX には疎い人も多い。慣れるのに苦労した人もいた。

しかし、今までは多大な労力を掛けてやっていた作業以上の事が、一つのコマンドで出来るようになるのである。実際に開発者の移行が始まると、元の環境に戻れなくなるのはすぐであった。

また、移行時に個人毎にすぐに古い作業で継続できるように、複数のビルド方法を並列させたりしたので、大きな問題もなく移行できたようだ。複数の方法を連立させるのに少々、手間のかかることもあったが、必要悪な行程である。

OpenVOS は各種の UNIX ツールの恩恵を VOS にもたらした。OpenVOS では、余計なレイヤが増えているため、性能の劣化が著しい。そのため実務にはあまり向かない部分がある。それに引き替え、開発環境などでは、長い間使われてきた物が多々ある。それらのもたらす恩恵は、掛け替えの無いものであった。

現実問題としては、UNIX と VOS に精通している人は、多くは無いようだ。他所では未だに、昔と同じやり方で開発をしているところが多いとの印象を受けた。