OpenVOS2006年07月14日 11時46分19秒

さて、その特徴的な OS と独自のシステムコールにより、VOS 上でのプログラムは自分で書く以外には選択肢はなかった。UNIX 上では昔からソースコードが公開され、色々なプラットフォームに移植されてきたプログラムも多々ある。いわゆる Open Source と言われる物だ。

もちろん、Open Source のプログラムも VOS 上で動くわけない。しかし、perl と言ったプログラムや、その他のごく一部のプログラムは設計者の Paul Green がいろいろ力技で移植していた。十年ぐらいは昔に辿れると思う。

そろ頃から、POSIX 互換の API は徐々に準備されてはいた。しかし、Open Source の移植は半端ではない程難しい。最近のプログラムはほとんどで configure を通して、色々なヘッダファイル等を生成する。もう一昔前のソフトウェアだと、色々独自の方法でプラットホームの互換を吸収しようとしていたが。

しかし、VOS 上では、この configure 自体が走らないのである。configure がやることを全て、自分で調べなければいけない。しかも、その後に正しいコンパイルの手順を発見しなければいけないのである。configure が Makefile を生成するが、それができないのである。それだけでは足らず、make などもない。一つ一つを手でチマチマとコンパイルしていくしかないのである。せめて、command macro にまとめるぐらいが精いっぱいだろう。

いわゆる IT バブルの時に Open Source も一躍脚光を浴び、知名度を上げた。西暦 2000 年当たりの頃だろうか。Stratus もこの潮流にと、本腰を上げて POSIX 互換環境を整え始めたのである。

これが OpenVOS と言われたプロジェクトである。Open Source の移植を容易にする素地を作ろうという試みである。Open Source 版の VOS ではない。bash や sed、awk 等のスクリプト言語や、find、grep、ls 等のファイル関連のユーティリティを、VOS 上で動くようにしたものである。2003 年ぐらいには、大体的に宣伝もしていた。samba 等を Stratus 社が移植して、無停止の Windows サーバなどとして売り込んでいた。

OpenVOS のおかげで bash 環境に移行すると、標準的なコマンドはほぼ使えるようになった。プロセスの生成がとても遅いとか、その他の問題も多々あるが、それでも 利点は大きい。shell script が使えるようになっただけでも、大きな進歩である。VOS 付属のスクリプト言語 Command Macro はアセンブリ言語の様なスクリプト言語だと始めは思ったぐらいなのだから。

bash なども VOS 特有の環境のため、色々と面白いことが起こる。後々、ゆっくりと上げていくとしよう。