外部メディアを一切使わずに i386 からamd64 へ ― 2007年06月03日 11時56分47秒
それでも、一時的に別のシステムを入れるので、ある意味ズルをしているのかも知れない。
この方法を要約すると以下のようになる。まず、本鑑のシステムで i386 と amd64 のビルドを終わらせておく。それから、md64 をインストールする為の踏台にする、i386 を別の場所にインストールする。一時的な i386 システムを起動して、DESTDIR を用いて、本鑑のシステムを i386 から amd64 に移行する。
まず、そのためには一つ余分なパーティションが必要になる。全く使っていないパーティションがあればそれでもいい。一パーティションしか無いという人も光明が無いわけでもない。特に大きい必要もないので、スワップパーティションを一時的に使えばいい。残念ながら、mdconfig などで代換することは出来ない。
第一ディスクの第一スライスを使っていると仮定する。つまり ad0s1 だ。
# swapoff /dev/ad0s1b
# newfs -U /dev/ad0s1b
# mount -onoatime /dev/ad0s1b /mnt/tmp
ここで、make buildworld TARGET_ARCH=amd64
で終わらせておく。今回は第一ローダの部分を簡単にこなす為の方法なので、i386 の buildworld と buildkernel が必要になる。TARGET_ARCH=amd64
の物を使うときは、第一ブートローダで、ad(0,1,b)
などとして、ブートしないと無理だと思う。加えて、二度目の install{world,kernel} の時に、/usr/obj の使われ方がi386 で実行するときと、amd64 で実行するときで、微妙に違うので、ad0s1b に amd64 版を入れるときは、更に注意が必要になる。
# vi /etc/fstab
/dev/ad0s1b / ufs rw 0 0
#/dev/ad0s1b none swap sw 0 0
#/dev/ad0s1a / ufs rw 1 1
#/dev/ad0s1d /usr ufs rw,noatime 2 2
fstab を編集し、ad0s1b から起動するように変える。
# cd /usr/src
# make installkernel installworld DESTDIR=/mnt/tmp
# cd /
# tar cf - /etc | tar xf - -C /mnt/tmp
# df /mnt/tmp
Filesystem 1K-blocks Used Avail Capacity Mounted on
/dev/ad0s1b 1012974 171700 760238 18% /mnt/tmp
/mnt/tmp にインストールし、/etc 以下をコピーする。installworld では入らないためだ。200MB 以下なので、amd64 が載っている計算機だったら、そのくらいのスワップ領域は割り当ててあるだろう。
その後、再起動をして、作業を再開する。
# reboot
...
login : root
password :
#
# mount /dev/ad0s1a /mnt/tmp
# mount /dev/ad0s1d /mnt/tmp/usr
# mount_nullfs /mnt/tmp/usr/src /usr/src
# mount_nullfs /mnt/tmp/usr/obj /usr/obj
# cd /usr/src
# make TARGET_ARCH=amd64 DESTDIR=/mnt/tmp install{kernel,world}
普段使っているパーティションをマウントする。/usr/src と /usr/obj が ad0s1b には無いので、nullfs を活用する。あとは、DESTDIR と TARGET_ARCH を指定して、インストール。
# vi /etc/fstab
#/dev/ad0s1b none swap sw 0 0
/dev/ad0s1a / ufs rw 1 1
/dev/ad0s1d /usr ufs rw,noatime 2 2
fstab を元に戻して、再起動する。失敗した時の為に、swap は無効にしたまま、起動できるか試す。
# uname -m
amd64
# uname -p
amd64
特に何の支障もなく amd64 で起動した。buildworld は全て済んでいた。ad0s2b にインストールしてから、ad0s1a から amd64 で起動するまでの所要時間は三十分だった。
FreeBSD 6.1 で試したのだが、amd64 に変えた後に動かなくなっている ports も結構あった。32-bit 互換は有効になっている。実際、startx で XOrg は問題なく起動する。それ以外の物が、かなりの割合で動かなくなっていた。恐らく、FreeBSD 5.x を動かしていた時のライブラリは、COMPAT_IA32 が有効になっていても、作られないのだろう。もし、FreeBSD 5.x が入っていて、4.x からの遺産が無ければ、このような 32-bit 互換の問題は無いかも知れない。
今回の例から言っても、遊び用や実験の為であれば i386 から amd64 に上げるのもいいかも知れない。しかし、実務用に使われている物では避けるべきだろう。
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